入社動機は?
高校時代は保育士を目指していたのですが、友人の付き添いで大阪にあるデザイン系の専門学校の見学に出かけたのが転機となりました。その中でも、アニメを製作する面白さに心底魅了されて、そのまま進学を決意。就職先としても当然のようにアニメ製作会社を考えました。東映アニメーションに関しては親が『ドラゴンボール』世代で一緒に良く見ていましたし、『プリキュア』や『おジャ魔女どれみ』など私自身も慣れ親しんだ作品を製作しており、世代を超えて多くの人に影響を与える作品づくりができるのが入社の決め手になりました。
現在の仕事内容
簡単に言えば、仕上とは作画から上がってきた絵に色を塗る作業のこと。私の場合、最初はリテイク班でラッシュチェックで出たリテイクの修正処理や劇場作品の色検査を行いながら基礎を学び、2年目からは色を指示する「色指定」、仕上がってきた絵の色を確認する「色検査」を手がけるようになりました。キャリアを積んだ現在は「色彩設計」の担当として、キャラクターや小物の色の決定、作品全体の色彩の統一といったところを手がけています。これまでに『ダイの大冒険』『ドラゴンボールDAIMA』『ONE PIECE』エッグヘッド編などに携わってきました。
仕事のやりがい
苦労して描いた絵が完成し、視聴者の皆様のもとに届いた瞬間にやりがいを見出しています。先日は『ドラゴンボール』のキャラクターを使ったCMを製作したのですが、80~90年代風のセル画調の色味を表現するために、肌や髪の色の細部までを調整して作り上げたところ、ファンからも好評を博すことができました。近年、アニメ作品の色数は劇的に増えており、ファンの目もますます肥えているので、努力が認められたときは本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります。
チャレンジエピソード
『ドラゴンボールDAIMA』を製作していたとき、色指定検査のメイン担当として20話近い全話数を担当するチャンスをもらいました。普通のテレビシリーズでは色指定検査が複数人いるので、自分の担当していない話の色を確認して整合性を保つ作業が発生します。しかし、このときはほぼ私一人ですべてを任せられたので、自由に仕事を進めることができました。例えば、バトルシーンで対峙する2人のキャラクターの色は決まっていたものの、キャラ同士の空間の色が未定だったので、自分なりに“カッコいい”と思える色を指定したりしました。また、背景と作画で違和感が出すぎないように細かくトレス色を変える、小道具の色を画面映えする形にするといった提案が通ったりもして、非常に影響力の大きな作品でありながら、私の意志を随所に反映することができました。

⼊社後に感じたギャップ
色を塗る“仕上”は、アニメ製作上、最後の方の工程となります。それだけに作画などの前工程が遅れると、スケジュール上のしわ寄せが生じ、日によってはほとんど仕事がないということも。しかし、その翌日にはとんでもない量の仕事が机の上に乗っていることもあり、ジェットコースターのような毎日を送ることになったのは想像していませんでした。ただ、メリハリを効かせて働ける面はあるので、キャリアを積んだ今は仕事の波を予測して、プライベートに時間を確保するといったこともできるようになっています。
入社してから自身が成長したと感じるポイント
スケジュールが切迫しても無駄に焦ってしまうことはなくなり、スピード重視で作業できるようになりました。自分の担当以外の仕事もよく見えるようになり、作画の流れを記した「タイムシート」を眺めてミスに気付き、事前に関係各所に調整をかけ、リテイクになることを防ぐといったこともできています。アニメ製作の最前線で経験を積むことで、技術的な面だけでなく、違う部署の人とも積極的にコミュニケーションをとれるようになりました。
今後、挑戦していきたいこと
東映アニメーションというと、昔から“ビビッドカラー”という特色があると言われてきました。小さな子向けの作品が多いだけに“ビビッドカラー”が第一の選択肢だったという背景がありますが、昨今はアニメの表現方法が変わってきており、幼い子であっても複雑な色合いの作品に慣れ親しむようになってきています。今後は現在の視聴者ニーズに合致する色を作ることで、東映アニメーションの価値を高めていきたいと考えています。これからもこだわれるところはとことんこだわって、逆にしめるところはしっかりしめる、メリハリのある仕事をしていきたいと思います。
東映アニメーションの海外展開について
仕上工程における“色を塗る”という部分は、大部分をフィリピンのグループ会社が担当しています。私が色指定をするときは、基本的に英語で指示を付けており、日々のアニメ製作でグローバルを感じ続けています。英語は得意ではないですが、単語を並べればわかってくれますし、絵や矢印なども交えて、わかりやすく伝えることは常に心がけています。
作品を愛するファンの姿がやりがいに
『ドラゴンボールDAIMA』を製作していた頃、東京ビッグサイトで開催された「ダイマツリ」というイベントで1話の先行上映を行いました。自分がかかわった作品に触れたファンが熱狂している姿を見て非常に嬉しかった一方、ビッグタイトルを預かる責任の重さをひしひしと感じ取りました。
- 9:30
- 出社
- 製作陣としては早めの出社。リテイクや色検査の優先順位決め、スケジュール確認などを行います。
- 10:00
- 色指定検査作業
- パソコンとペンタブを使って色指定と色検査を繰り返します。仕上や撮影の作業が滞らないよう仕事量を調整しながら作業します。
- 12:30
- 昼食
- 近隣の東映撮影所の社員食堂を活用することが多いですね。300円台でおいしいランチが食べられるので重宝しています。
- 13:30
- 打ち合わせ準備
- 夕方に行うラッシュチェックに向けて、あらかじめ作品を確認した上で自分から指摘するべきポイントをまとめておきます。
- 14:00
- 美術仕上打ち合わせ
- 美術、仕上、演出のメンバーが集まり、進行中の話の色に関して、忌憚のない意見を述べ合います。
- 17:00
- 色指定検査作業
- 午前中にできなかった作業を再開。美術仕上打ち合わせで決まった色の確認を色彩設計と話し合っているときもあります。
- 18:00
- ラッシュチェック
- 監督、作画監督、演出、進行、色彩設計、美術、CGなどの責任者が集まって1カットずつ確認し、リテイクすべき要素を洗い出します。



